社内の業務で誰かがミスを起こしたような時に
皆さんはどのようなフィードバックをしますか?
今回のミスだけに注目すると、
「次回からミスをしないように気をつける」というフィードバックになるかもしれません。
本人の不注意が原因と捉えた指摘となります。
今回のミスだけでなく、過去のミスも含めて分析してみると
別の視点からのフィードバックができるかもしれません。
最近ミスが増えているような場合は
作業の整理や優先づけができていないなど仕事の進め方に課題があるかもしれません。
その場合は何かしらトレーニングを設計し時間をかけて改善していく必要があります。
もし普段は起きないようなミスだとすると
本人が別のことで悩んだり困ったりしているのではないかなど
気持ちに目を向けてみる必要があるかもしれません。
キャリアや成長への悩みがある場合はメンター制度などを検討してもいいかもしれません。
さらに個人ではなくチームの目線で見てみると
チーム全体の作業負荷が高くミスが起きやすい状況かもしれません。
そのような場合は業務の棚卸しやツールの導入、メンバーの増員、作業の外部化など
チーム全体の負荷対策をしないと恒常的にミスが発生することになります。
コミュニケーションのズレから発生したミスの場合は
相談しやすい雰囲気や関係性を整える必要があるかもしれません。
他のチームの業務とも連携がある場合は
関係する業務内容も含めて見直す必要があるかもしれません。
負担はかかるかもしれませんが、仕組みやフローの見直しが必要となる場合もあります。
ミスという事象を起点に組織全体が連動して補正されていくことになります。
さらに実際にフィードバックをかける際には、
具体的に伝えるのか、抽象的に伝えて考える余地を残すのか、
すぐに伝えるのか、時間をおいて伝えるのか
という要素も状況から考える必要があります。
このように考えてみますと、
一言にフィードバックと言っても
様々な次元のフィードバックが存在しそうです。
・個人へのフィードバックとチームへのフィードバック
・スキル面のフィードバックとメンタル面のフィードバック
・ヒトへのフィードバックと仕組みへのフィードバック
・短期的なフィードバックと長期的なフィードバック
・具体的なフィードバックと抽象的なフィードバック
実際はこの内のどれか1つという訳ではなく、複数のものが絡んでおり、
いくつもの次元のフィードバックが同時になされることになります。
ミスの事象からフィードバックの議論を行うこと自体が
会社全体を俯瞰して最適化をしていくトレーニングとなり、
これも一種のフィードバックとして働きます。
AI(人工知能)の分野におけるニューラルネットワーク
つまり脳の学習モデルに近く思える部分もあります。
ニューラルネットワークでは判断の結果を受けて
ネットワーク全体にフィードバックを多層的に伝えて最適化を行い
結果としてその後の判断精度を向上させます。
現実の世界はさらに複雑なものになるため
より多くの次元からのフィードバックが必要となり
組織全体として複雑な学習をしていくイメージでしょうか。
ミスを個人の責任問題として扱ってしまうと
全体としてはむしろ状況が悪化してしまう可能性があります。
それよりは多次元的に捉えて、全体最適化を図る方が生産的でしょう。
これは会社に限らず家庭などにおいても同じかもしれません。