Mogic社内で実践しているトレーニングを紹介

コラム

初プロジェクトで伝えること

2024.10.10

インターン生の連載でマイクロテックの様子をお伝えしています。今回のマイクロテック、社内で楽しめるサービスを作ることはもちろんですが、裏の目的は来たる年賀アプリ開発の準備です。
*年賀アプリは、Mogicが年賀メールにプラスアルファでお届けするお遊びWEBサービスです。毎年インターン生を中心に開発を行います。

過去には年賀アプリ開発にいきなり突入してきたのですが、インターン生の経験値が足りずに企画、開発、チーム連携、プロジェクトのあらゆる工程が難航して地獄に落ちるという経験を何度も味わってきました。今回はその反省を踏まえて、事前に社内サービス作りを経験させてみることに。本番は年賀アプリ、今回はその修行です。

さて、集まったインターンの子たちは入社してまだ数ヶ月から半年程度。マイクロテックのようにサービスを0からチームで開発するのは初めてになります。ということで最初に簡単なプロジェクト講義が開かれました。キーワードは「広げてたたむ」。

まずインターンの子たちに「プロジェクトはどう進めていけばいいかな?」と尋ねてみます。すると「みんなでアイデアを出す」「出たアイデアを取捨選択する」「それを何度か繰り返す」といった答えが返ってきます。

次に「うんうん。じゃあこれをやっていけばうまくいきそうかな?他にやっておくべきことはないかな?」と聞いてみます。今度は「うーん、多分」「あ、あとは設計......とか?」など。

「なるほどね。ちなみにアイデアを取捨選択するってとこだけど、これはどうやって取捨選択すればいいかな?」とつつく質問。これには「みんなで話し合って?」「多数決とか」という反応です。そしてここまでの会話を聞いた上で予言します。「このまま進めるとうまくいかないね」と。そして先ほどのキーワード「広げてたたむ」について説明がされます。

「プロジェクトにはアイデアを出して広げていくフェーズと、それをたたんで最終的な形にしていく2つのフェーズがある。広げずにいきなりたたむ、つまり作ってしまうとつまらないものしかできない。一方で広げたけどたためないと作り切ることができずに途中で頓挫してしまう。広げるとたたむ、この両方をバランス良くやることが大事になるんだよ。」

その視点で先ほどの状況を考えてみると、たたむための材料がないことに気づきます。たたむときの材料、1つは「制約」です。制約は具体的には時間、お金、スキルなど、プロジェクトを進めていく上での制約です。サービスは何年もかけて作れないし、開発メンバーの技術力に応じて作れるものも限られてくる。その他にも今回作るサービスの場合だと、短い時間(30秒程度)で遊べるもの、新しいメンバーが見てもすぐに理解できるといった機能面の制約もあります。

もう1つは「優先順位」です。今回のサービスで優先すべきことは何かを明確にせず、あれもこれもやろうと欲張ると大抵失敗します。仮にサービスができたとしても使う人にとってよく分からないものになる可能性が高いです。

今回は議論した結果、1にシンプルでわかりやすい簡単なゲーム、2にハラハラするギャンブル要素がある、3に結果の演習は凝るという3つを優先事項としました。(いざ開発を進めていくと、これもまた欲張っていたな......と苦しむことになるのですが)

制約と優先順位を最初に明確にしておかないと、アイデアが決めきれなかったり、ほぼ作ったのに作り直しということになりかねません。最初にいかに解像度をあげてゴールイメージを設定できるかがプロジェクト成功の鍵になってきます。

制約という言葉には重苦しい印象がありますが、考えてみればどんな規模のプロジェクトにも必ず制約はあります。大切なのはその限られた条件の中で、どれだけ良いものが作れるか頭を使って考えること。ないないと言ってもないものはない。その中で優先度を決めてそれ以外は捨てて集中して取り組む。そういうマインドが大事だと思ってます。

と、こんな内容を最初に伝えるんですが、頭で分かることと経験を通して身体で分かることとはまた別物。今回のサービス作りを通して各自いろいろなことにぶつかって苦しんで、そこから自分なりに吸収して欲しいなと思いながら見守っています。そしてその中で見つけた課題に、次の年賀アプリで再アタックしてもらえればと思います。